製品開発の歴史

エステル反応という技術から可塑剤、難燃剤という製品が誕生しました。弊社は可塑剤を初国産化し、この国の発展を支えて参りました。

可塑剤は素材を柔らかくするという価値により人々の生活に新しい豊かさをもたらし、難燃剤はかけがえの無い財産や人命を護るという価値をもたらしました。

ここでは大八化学が発展させた製品開発の歴史の一部をご紹介します。

エンジニアリングプラスチック用難燃剤

かつてはモノホスフェートであるTPPが多用されていました。

しかしTPPは低分子量であるため、コンパウンド時の揮散性が問題となりました。そのため低飛散化を目指し、TPPをレゾルシンで縮合し、分子量を大きくしたRDP (CR-733S)へと移行していきました。

RDP (CR-733S)は燐含量が高く難燃性能は高いのですが、耐加水分解性に課題があったため、その後、レゾルシンをビスフェノールAに置き換えたBDP (CR-741)が登場しました。現在PC/ABS用途では BDP (CR-741) がデファクトスタンダードとなり、広く使用されています。

一方、BDP (CR-741)は高粘度な液体であり、取り扱いづらい、コンパウンド配合によって分散しにくい等の課題があったため、末端フェノールを2,6-キシレノールに置換し、耐熱性を高め、かつ当社独自の固化技術で粉体としたPX-200を開発したという歴史があります。

PX-200は世界で当社にしかない製品であり、大八化学の培ってきた独自技術が結晶化した製品とも言えるかもしれません。元々エンジニアリングプラスチック向けとして開発された製品ですが、様々な特徴がその後見つかり、PCB等積層板電材用途、接着剤等新しい用途へ展開されていっています。

ウレタン用難燃剤

ポリウレタン用難燃剤は過去、軟質、硬質用途共にモノマータイプであるTMCPPが広く使用されておりました。

しかしモノマー系難燃剤は分子量が小さい為、難燃剤自体の揮発が原因でのガラス内側曇りであるフォギング原因となってしまい自動車メーカーの要求に対応することができませんでした。

またモノマータイプはどうしても毒性懸念が払拭されず、一部用途を除いてはユーザー独自の自主規制も絡み、モノマー型からの脱却が求められてきた経緯があります。

その経緯から、当社ではフォギング性に優れ、毒性懸念の少ない縮合タイプの開発を行い、含ハロゲン系タイプとしてCR-504Lを開発しました。日本、中国を始めアセアン地域中心に、自動車向け・一部家具向けのスラブフォームとして標準的に使用されています。